茨木商工会議所は、全国でも他に例がない(恐らく)、大学キャンパスの中にある商工会議所です。2015年4月に今の場所に移転してきたこともあり、外観、内部もとてもきれいです。
今回は、茨木商工会議所の理事である笹井さんにお話を聞きました。
勝手なイメージですが、茨木市ってすごく創業が盛んなイメージがありますが?
■茨木市の創業促進事業補助がすごい!
「そうですね、今年度の4月〜9月の創業相談の件数は、昨年度より増えています。コロナ以前と比較しても多い。それと、茨木市の創業促進事業補助がすごい!インパクトがあるんです。例えば、商店街または中心市街地で、小売業・飲食店を開業する場合は12ヶ月間、それ以外でも6ヶ月間の家賃補助があります。他にも改装に対する補助なども。もちろん金額に上限はあるけど、実際に利用した人から、『忘れたころに合計100万円ぐらいの振り込みがあって、すごく助かりました』って声も聞きました。
そんな充実した制度だから、利用した人が口コミで広げてくれるんです。他市在住なのに、まずは茨木市で創業したいって人も実際にいました。あと、『茨木商工会議所に相談すると丁寧に対応してくれると聞いたので来ました』って人も。これを聞いたときは、すごく嬉しかったですね」
以前に実施されていた三島地域全体の創業セミナーも他の地域には見られない企画で、すごく面白かったです。
■楽しそうだと思って
「あれは、なんか楽しそうだと思ってやってみました。茨木市役所の創業担当の方は、前からよく知っていたので、その人たちに話してもらったら面白くなるのではと思いました。さらに、範囲を広げ、三島地域(吹田市、高槻市、摂津市、島本町、茨木市)全体ですればもっと興味を引くだろうと思い、自治体、商工会・商工会議所に声をかけたところ、すぐにそれぞれの担当も決まって」
周辺地域の創業支援制度が一堂に聞けるって、参加者にとってはすごいメリットですよね。それと、創業計画書の書き方説明を笹井さん自らがやっていたのも印象に残っています。他のセミナーでも自身が対談者として登壇されていましたし。
「対談者として実施するセミナーは、僕が入社数年ぐらいのときに先輩が座談会をしたら面白いのでは?と始めた企画です。その先輩は、色々と企画するのは好きだけど、自身が表に出るのはそれほどでした。そのとき声をかけてもらって、とりあえずそこに座っといてと言われたのがきっかけで、今では私が担当することになりました。今度、創業者向けの異業種交流会もありますけど、そこでも制度については私が話します。参加者同士が仲良くなってもらうことが一番なので、私がわかる範囲で話しておけばいいかなと。そういうスタンスです」
セミナーの企画の話を聞いていると、すごく自由度が高い気がしますけど、茨木商工会議所には、そういう風土があるからですか?
■個人を尊重する風土
「そう言われて考えてみると、確かにずっと昔からそうですね。私が入所した1997年から。例えば、コロナ禍になって交流会が出来ないかと考えた職員が、1か月に1回のオンライン交流会を始めたんです。最初はこじんまりとスタートさせたのですが、現在では定員をオーバー。WITHコロナ事業として、新年互例会の会頭あいさつでも紹介されました。現場で考え、始めたことが、会頭まで上がっていく、普通は逆かもしれませんね」
でも、本来そうあるべきですよね?色々な企業さんと話しているのは指導員さんですし。
「それを許してもらえる風土があるのは幸せですよね。うちの職員はほとんど辞めません。もちろん、しんどいこともあるけど、これ以上、充実できる仕事はひょっとしてないかもと私は思っています。
うちの専務は会員さまの目というか、どう感じてくれているかということをよく言います。指導員自身も、常に何かをやろうという意志があります。総務担当の女性職員も、毎年、伝票をより良く作り直したり、担当外の業務も積極的に関わってくれています。周りには迷惑はかけない、プラスになることであればやるという個人を尊重した会議所でもあると思っています」
笹井さんと話していると「楽しいそうだから」という言葉をよく聞きます。企画を考える上でのヒントってそういう部分にあったりしますか?
■色々な立場を流動的に使ってみる
「そう、楽しくないと身体がそっちに行かないし、それが根源かもしれません。それと仕事の範囲だけで考えていたらいいアイデアは思いつかないかもしれません。誰にも色々な立場の顔があると思います。
私は、PTA活動や地域の会合にも定期的に参加しています。その活動から仕事のアイデアを取ってきたり、逆に仕事の繋がりをPTA活動に活かしたりと、色々な立場を流動的に使うことが大切だと思います。そして、それは自分にしかできないこと。
もちろん、仕事をやる上で、やらないといけない仕事はあります。同じやるのであれば、やらされるより、自ら手をあげてやったほうがいでしょ?そうすることで成果も変わってくると思います。
会議所でも融資の仕事は難しい。けど、嫌と思ったことはありません。売り込みの営業とかって、片方は真剣だけど、もう片方は興味さえないのかもしれませんが、融資の話はお互い真剣勝負です。企業さんは希望を叶えたい、会議所は企業さんの望みを実現したい。ですからお互いに真剣に対話を繰り返すわけです。
そういう場ってありそうでないんです。お互いが何かを聞き出そうと必死。すごく勉強になるし、あの空気感嫌いじゃないです」
楽しいこと、仕事以外のこと、ちょっと無駄に思えることもしてみる、すべて繋がっているような気がしました。
■なにごとも偶然はない。それに気づくかどうか
「なにごとも偶然はない。人と人の出会いも、絶対、何かの因果関係があります。今日ここで、このような話をしているのも。その場面に出くわしたとき、気づくかどうか、見過ごさないかどうか、それが繋がっていくのだと思います」
笹井さんが考える企画はいつも楽しいと思いながらセミナーなどに参加していましたが、その理由が少しわかったような気がします。普段、自分が見ている風景も、立場を変えて見ると違ったものかもしれない。そういうことに気付かされた一日でした。
最後に笹井さんの昔についてなど話をしていたら、
「会議所の職員さんってほとんどが中途入社じゃないかな?私自身もそうだし。今度、『会議所の職員になるまで』っていう企画してみたら?」
確かに、色々なバックグラウンドがあって面白そうです。ぜひぜひ、実現させたいです。
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